佐賀県 森外科医院 苦痛のない内視鏡検査
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生活習慣病(高血圧)

高血圧

血圧は心臓が血液を全身に送るときの圧力のことで、年齢や持病により変わりますが、おおまかに140/90mmHg以上が高血圧です。   測り方:椅子に座って一息おいて、心臓を同じ高さにして測る。

診察室の血圧と家庭での血圧は異なります。自宅でも朝・夕測りましょう。朝は、起床後1時間以内排尿を済ませてから、夕は入浴や飲酒後は避けて寝る前に測りましょう。

家庭血圧からわかる血圧の異常

病院で血圧を測定すると、なぜか高めになる…そんな経験はありませんか。病院だと、緊張などから血圧が高くなることがあり、「白衣高血圧」(白衣を見ると血圧が上がる)と呼ばれています。
高齢者に多くみられますが、白衣高血圧の傾向が強いと、日ごろの血圧がわからないため、正確な診断を下しにくくなります。こうした場合も、家庭で血圧を測定し、その記録を医師にみせることで、白衣高血圧かどうかの判断ができます。

高血圧といわれたらどのような検査が必要ですか? 高血圧の診断や一般検査

高血圧によって体(臓器)がどれくらい影響を受けているか、また、高血圧の治療を行ううえで重要な合併症がないかどうか、そして(多くは原因不明ですが)高血圧の原因となるような腎臓やホルモンなどほかに異常がないかについて、次のような検査を行います。

  • 身長・体重計測(肥満度の評価: 運動不足や肥満が高血圧の原因の一つです。
  • 心電図: 高血圧に伴う不整脈などを調べます。
  • 尿検査・血液検査: 高血圧の合併症やその原因となる疾患が無いかを調べます。
  • 胸部レントゲン検査: 高血圧に伴う心拡大などを調べます。(場合により心臓超音波検査も行います)

高血圧はなぜいけないの?
脳や心臓に関係する合併症のはなし

高血圧は症状がなく、知らない間に心臓病や脳卒中を引き起こし認知症などの原因にもなっていきます。症状が出たときはすでに遅かったという例もあります。

① 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など

高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、日常生活に支障を来し、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。

② 認知症

高血圧を改善させることによって認知症予防が期待できます。

③ 心臓肥大

これが続くと「心不全」になり、動悸・息切れ・呼吸困難などに陥り、生命にも関わります。

④ 狭心症・心筋梗塞

動脈硬化によって心臓の冠動脈が狭くなり血液の供給が低下した状態を「狭心症」と言います。高血圧症による心筋肥大(心臓の筋肉の肥大)により、冠動脈がさらに細くなったり、血流が悪くなったり血栓が詰まることで、血液がとどかない部分が虚血(きょけつ)・懐死(えし)する病気が「心筋梗塞」です。最初の発作で3割の方が亡くなり、半数以上は1時間以内に亡くなると言われています。

血圧の分類と管理目標

血圧の日内変動のお話し(早朝高血圧に注意しましょう)

夜間の血圧レベルが,昼間の血圧レベルより10%以上低いものをdipper(ディッパー:ひしゃく型) といい,10%未満のものをnon-dipper(ノンディッパー) といいます.さらにnon-dipper のうち,夜間が昼間より高いものをriser (ライザー)と呼びます。 non-dipper や riser型 に、脳卒中や心筋梗塞、腎障害などを伴うことが多く、予後が不良なことが知られています。

高血圧の治療

 高血圧は大半が本態性高血圧(一次性:原因不明)ですが、10人に1人の割合で、原発性アルドステロン症やクッシング症候群、甲状腺機能異常、褐色細胞腫、腎動脈狭窄などが原因の二次性高血圧の方がいることが知られています。 
 この方たちの特徴は ①若いときから発病している ②初発ですでに血圧が高い(収縮期血圧>160mmHgまたは拡張期血圧>100mmHg) ③薬の反応が悪くコントロールが困難 などがあげられます。
 なかでも原発性アルドステロン症は「血漿アルドステロン濃度:PAC」と「血漿レニン活性:PRA」を測定し、PAC/PRA比(ARR)が200を超えていれば、内分泌専門医での治療が必要となります。
 甲状腺機能は、TSHやT4というホルモンを調べればわかります。褐色細胞腫(まれに悪性腫瘍もあります)は、血中や尿中のカテコールアミンの測定が役にたち、腎動脈狭窄は、腹部CT検査や超音波検査が役にたち、これらの原因を治療すれば高血圧も治療できます。

 

食事療法 (減塩6g/日未満)

食生活の改善と適度な運動で薬を使わず治療します。塩分摂取は、1日6g未満を目標にしましょう。 飲酒は、日本酒にして1日1合ぐらいに抑えましょう。野菜や果物を積極的に摂り、コレステロールや飽和脂肪酸を含む食品の摂取は控えめにしましょう。 出来るだけ毎日の30分程度の有酸素運動を心がけましょう。

薬物療法

薬によって血圧を下げることで、確実に合併症や臓器障害を防ぐ方法です。 どの降圧薬を用いるかの選択は、その患者様が患っている基礎疾患(たとえば、糖尿病、心臓疾患、脳血管疾患、腎疾患など)によって変わってきます。 降圧薬は、血管を広げるカルシウム拮抗薬、α、β遮断薬、更に、最新のARBという臓器保護作用がありながら血圧を下げるお薬などが選択されます。 医師の処方通りに飲みましょう。

降圧薬の種類

 利尿薬を飲むと体内の水分量が減り、心拍出量が減って血圧は下がります。 また、長期にわたる利尿薬の服用は末梢血管抵抗(末梢の細い血管での血液の流れにくさ)を下げるので、血圧も下がります。 利尿薬は安価で降圧効果に優れており、しかも少量の服用で十分な効果があります。利尿薬には、サイアザイド系およびサイアザイド類似利尿薬などがありますが、最近注目されているのは、ミネラロコルチコイド受容体(MR)拮抗薬(MRA)です。高血圧症は、血液中の電解質のバランスを制御するステロイドホルモンの受容体であるミネラルコルチコイド受容体の過剰な活性化が関係していることが知られています。よって、ミネラルコルチコイド受容体(MR)をブロックする拮抗薬は、体液量を適正に維持し、腎臓(尿細管)に存在するMRを阻害することで血圧を下げる効果がえられ、新しいお薬が開発され続けています。

第一世代MRA: スピロノラクトン    第二世代MRA: セララ     第3世代MRA: ミネブロ 

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